二番手の私が派遣されますが、お陰で武勇伝が発生します。
日本劇場でのジュラシックパーク制圧部隊として日比谷軍から三名派遣されるのですが何故がタイムカードは毎回東京宝塚劇場の事務所まで押しに行きます。
私は西武池袋線で池袋に出て、そこから丸ノ内線に乗り、銀座駅で下車。そこから東京宝塚劇場まで歩き、タイムカードを押す。因みに日本劇場がある有楽町マリオンにも事務所はありましたが私のタイムカードは無いのです。
確か朝の7時半にはタイムカードを押し、そして日劇に移動し、着替え、8時から準備をし、8時半には開場。普通の映画なら朝一番の回は暇なのですがジュラシックパークは違います。朝から本格的な戦闘です。それでも朝の場合、集中してお客さんが来ないのでまだ楽です。しかし、一回目の上映が始まってからが本当の地獄です。
普通なら上映が始まって次の回まで暇だったりするのですが、ジュラシックパークは違います。一回目が終わって30分後に、二回目の上映を観たい人たちを館内に入れます。というのもこの時代指定席が稀で自由席がメイン。その為上映開始時間よりだいぶ前に来る人が多く居ました。従って日比谷軍から派遣の我々は30分後には次の戦闘準備にかからないといけません。何故なら入場してきたお客さんは売店に来るのです。
この日劇での布陣は新人のフリーターさんはディスペンサー担当。一つ上の大学生はアイスコーヒーなどの作り担当。そして販売担当の一番手が私です。若い社員さんが販売担当の2番手で一番年上の責任者が3番手。人選的には非常に弱いのですがこれが日劇軍の限界であり、一番の最高の布陣だと信じておりました。
新人のフリーターさんは計算間違いもあり、販売は弱め。しかし、ディスペンサー担当の力は新人クラス以上。野球で例えるのなら打撃は1割台だが守備はゴールデングラブクラス。絶対にパスボールはしないタイプ。アイスコーヒー担当の大学生も職人タイプで作り置きも追加も任せられるプロ。野球で言うと打撃は2割5分。しかし、守備範囲は広くエラーは少ない。 逆に彼らを販売担当にしたら全滅でした。いかんせん攻撃力が低いので。
因みにジュラシックパークの時点の私は後方支援がメインで、3割バッターだけど首位打者にはなれないし、ホームランも20本台。守備は良くて、ゴールデングラブの常連。侍ジャパンレギュラーだけどクリーンアップはどうかな程度の実力。しかし、ジュラシックパークで販売担当の一番手になり、打撃でもいきなり首位打者どころか歴代最多安打、最高打率を樹立するだけの活躍をします。 いや、マジで打率390とかではなく、4割です。
私の販売の実力は超絶怒涛の空前絶後のスピードにあります。
これは文章で説明するのは難しいのですが、お客さんがコーラ2つ、ポップコーン1つと言い終えた時点の零霊コンマ何秒後には合計金額690円が口から出ているのとコーラ二つとポップコーン1つがお客様の前に置かれているのです。そしてお客さんが1000円札を出した時にはお釣りの310円を手にしているのです。
これでは駅のキオスクのベテラン店員と変わらないではないか!という意見もあるでしょうが、計算スピードだけではなく、私の場合商品も出さないといけません。逆にキオスクの場合はほとんどがお客さんが手に取った商品を計算します。正直キオスクより商品数が少ないので覚えるのは楽かもしれませんが、同じ土俵で勝負なら私は誰にも負ける気がしませんでした。
口と手が同時に出る。まさにそれが19歳の私でした。しかし、残念なことに誰も証言できないことです。国際コースの仲間はこの時不在でしたので。Facebookで今でも繋がっている友人の誰も見ていないのです。
4割バッターを証明する事件として、お客さんがあまりに速い売りに驚き、放った一言に尽きます。
『君、テレビに出た方が良いよ』
19歳の夏はバイトに明け暮れ、月に20万以上を稼ぎ終了します。しかし、あの時の日本劇場の売店の売り上げは幾らあったのか?時給850円では超安かったでしょうな。
2018年3月31日土曜日
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